
(photo from The Hindu)
国営放送局ドゥールダルシャン(Doordarshan)の高画質(HD)放送を開始する記念特別番組として、ジャンムー・カシミール州シュリナガルのダル湖畔で無料開催された、世界的に有名なインド人指揮者ズベン・メヘタ(Zubin Mehta)指揮、ドイツのバイエルン国立管弦楽団(Bavarian State Orchestra)演奏による待望のコンサート「Ehsaas-e-Kashmir」が7日、生放送された。
同州はパキスタンとの分離独立に起因する紛争が絶えず、現在も不安定な状況が続いているが、ボスニア戦争時のサラエボや、またイスラエルではパレスチナ人もユダヤ人も同じ会場に集めての無料コンサートを度々主催してきた実績を持つメヘタ氏は、独自の信念でコンサートを大成功に導いた。
前半と最後には、カシミールの伝統楽器奏者とオーケストラとの夢の共演も盛り込まれ、会場の人々とテレビの前の視聴者たちを感動の渦に包んだ。
当時、流血の絶えなかったサラエボでも、2時間に及ぶコンサートで「タクトを振る間、1度として銃声が聞かれることはなかった」と回想するメヘタ氏は、「音楽の持つ力」が人間の内面にもたらす平安と、その強さを、絶大に信じているという。
メヘタ氏はコンサート前日の6日、プラナーブ・ムカジー(Pranab Mukherjee)インド大統領から、タゴール賞文化的共生部門(Tagore Award for Cultural Harmony)を授与された。
インドを離れて60年になるメヘタ氏だが、インド人としての誇りは決して忘れたことはないと語っている。
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